2009年11月30日月曜日

第5回野生動物管理システムフォーラム、開催!




11月27日(金)、第5回野生動物管理システムフォーラムが無事開催されました。
寒い中ご来場して下さった皆様、どうもありがとうございました。

今回は、京都大学生態学研究センターの谷内茂雄氏に
「流域ガバナンスの学際研究(琵琶湖の農業濁水問題を事例に)」
というタイトルで、お話していただきました。


なぜ琵琶湖の「流域ガバナンス」が「野生動物管理」に関係するのか?

このプロジェクトで野生動物問題は、農村・山村で起こってる現場の問題であり、社会科学と自然科学の両分野の連携が必要となります。
そこでどのような共通のプラットフォームを構築し、学問として展開するか?がプロジェクトを進めるうえでも、大きな課題となっています。

そんな中、2009年3月に出版された「流域環境学ー流域ガバナンスの理論と実践」が、現場で起こっている問題を社会科学と自然科学が連携して、どのように解決していくか?を考えていくうえで、とても参考になっています。

この本は総合地球環境学研究所の第1期プロジェクトにあたる、「琵琶湖ー淀川水系における流域管理モデルの構築」プロジェクトの成果を中心にまとめられたものでした。今回のフォーラムでは、プロジェクトリーダーの谷内茂雄氏に講演していただけることになり、私たちも「流域環境学」輪読会を開くなど、講演を心待ちにしていました。


当日の講演内容

 1990年代、地球環境問題が世界的な課題となる一方で、よりローカルな水資源や水環境問題についても、従来の方法だけではうまくいかない、ということが認識されるようになっていました。 
 日本でも、1990年代中ごろから、長良川河口堰問題に代表されるような、行政によるトップダウン型の河川管理の限界や弊害が問題となり、住民の意見を反映させる、新しい流域管理のあり方を考える必要性が出てきました。

 流域管理とは、流域という空間スケールを単位として、資源や環境の管理をおこなうことを指します。「流域」という空間単位は、水循環や物質循環の単位となっており、これまでも水質の管理や生態系管理への有効性が着目されていましたが、流域管理の実践には、「流域」が不確実性の高い「複雑系」であることや、管理の対象となる地域に「多様な利害関係者」が含まれるなど、様々な障壁をクリアする必要性がありました。

 このプロジェクトの課題となっている「流域ガバナンス」とは、従来の、行政主導のトップダウン型の管理のしかたと対比させて、流域の多様な利害関係者が参加して、多面的な関係や課題を調整しながら行うマネジメントのあり方のことを指します。

 今回のフォーラムでは、琵琶湖における「農業濁水問題」を題材に、「流域管理におけるボトムアップとトップダウンの調整は、どうすれば可能か?」という課題に挑んだプロジェクトが、どのように現場で研究を進めて来たか?ということを中心にお話していただきました。

 講演では、濁水問題が琵琶湖にどのような影響を与えるかという、農業濁水問題の「下流」にあたる自然科学中心の研究と、濁水問題がどのように発生したのかという、農業濁水問題の「上流」にあたる社会科学中心の研究について紹介していただくとともに、そこから浮かび上がってきた濁水問題の全体像、さらに、流域ガバナンスを実践していくために必要な相互コミュニケーション方法について、水環境分野を専門としていない私たちにも理解しやすい言葉で、丁寧に解説していただきました。
 
 講演の内容は「流域管理」でしたが、今、日本の野生動物管理が直面している課題と共通する面も多く、これから私たちがプロジェクトを進めていくうえで、多くの示唆に富んだ講演でした。

 谷内先生、本当にどうもありがとうございました!



(おおはし)

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